おひとり様にとって、ペットを飼うことは日常生活の励みになり生きがいにもなります。
「可愛いペットを飼い始めた」または「ペットを飼っているけれど、最近、体力的にお世話が大変になってきた」、そんなシニア世代の方も多くいらっしゃいます。
自分に万が一のことがあった場合、残されたペットがどのようになるか、ご不安な場合もあるかと思います。
現在、犬や猫の寿命は約13~14年と、年々延びてきています。
将来のことを考えると、万が一のために、大切な家族であるペットのことも考えておきたいものです。
アメリカと違って、日本では、ペットに対して直接、財産を相続させることはできません。
ペットに財産を継がせる方法としては、ペットとペットのお世話をだれかに託すことが現実的な対応となります。
「ペットの面倒を見てくれることを条件に、第三者や施設などに遺産を贈る」という法制度を使うことで、大切な家族であるペットの幸せと命を守ることもできます。
万が一、ご自身が亡くなった後、ペットが置き去りになって、食事もとれなくなってしまったり、保健所へ収容されて、本来なら生きられる寿命を全うできない状態を耐えられますか?
それよりも新しい家族のもと、最後まで幸せに生きてほしいと願われると思います。
おひとり様にとって大切な家族である愛犬や愛猫などのペットの幸せと命を守るために、ここでは2つの方法をご紹介いたします。
1.負担付遺贈
負担付遺贈とは、贈与する人が亡くなったときに、ある条件の下で贈与が行われる行為です。
この場合、ペットを引き取ってお世話をしてくれる代わりに、財産の一部または全部をあげると遺言することになります。
負担付遺贈は、遺言で一方的にペットのお世話を依頼することになりますので、依頼を受けた人が、遺贈の放棄をして、依頼を断ることができることになります。
つまり、ペットのお世話もしないし、財産も受け取らない、という選択が残されているということになります。
これでは、せっかくの遺言書であっても、ペットの幸せを願う思いは叶えられません。
ペットのお世話を依頼する人の選任には十分配慮して、また、相手が本当にそれを引き受けることができるかどうか、ペットを託したい相手との話し合いを十分にしておくことが大切となります。
ペットを託された人が遺言のとおりにペットを引き受けてくれるかどうか監視するためにも遺言執行者を決めておいたほうが良いでしょう。
2.負担付死因贈与
負担付贈与契約とは、ある特定の条件と引き換えに、特定の人に財産を贈るとする行為です。
1の負担付遺贈とにていますが、1の負担付遺贈が遺言で行われるのに対し、2の負担付死因贈与は、贈与する人と贈与される人の双方の合意が必要となります。
双方の合意があることが前提となっている契約のため、放棄してペットと財産の引き受けを拒否される心配はありません。
ただ、この負担付贈与契約は、口頭で約束しても成立しますが、口頭の場合は撤回することができますので、書面で贈与契約を交わしておくことが大切です。
また、1の負担付遺贈と同じく、契約どおりにペットを引き受けてくれたかどうか監視するため、死因贈与執行者を決めておくこともできます。